航空法では、ドローンを飛ばしてはいけない場所(空域)と、承認が必要な飛行方法についてのルールが定められています。
この記事では、次の3点について簡潔に解説します。
- 航空法の対象になる無人航空機について
- 航空法で規定されている飛行禁止空域と飛行方法
- その他、ドローン航空法に関する疑問
ドローンの飛行ルールを確認したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ドローン操縦者が守るべき航空法とは
ここでは、航空法や規制の対象になる無人航空機などについて確認していきましょう。
- そもそも航空法とは
- 航空法に違反した場合の罰則
- 航空法の対象になる無人航空機とは
- 感違いしやすい3つの注意点
そもそも航空法とは
航空法とは、民間航空機の安全な航行や、事故など未然に防ぐことを目的とした法律です。ドローンの飛行の方法や禁止空域に関しては、航空法第132条や第132条の2で規定されています。
具体的な禁止行為に関しては、『ドローンで飛んではいけない空域と飛行方法について』にて後述します。
ドローンで航空法に違反した場合の罰則
航空法第132条や第132条の2に違反した場合は、50万円以下の罰金に処されます。(航空法第157条の4)
罰金刑に処されれば前科がつく他、墜落したドローンが人に当たれば損害賠償請求をされるなど、罰金以外にもデメリットがあります。
航空法の対象になる無人航空機とは
次の条件の双方に該当する機体は、無人航空機として航空法の規制を受けます。詳しく見てみましょう。
無人航空機
無人航空機とは、次の2点を満たすものをいいます。
- 構造上人が乗れないもの
- 遠隔操作または自動操縦ができるもの
ドローンだけでなく例えばラジコンなども無人航空機に該当する可能性があります。
200g以上の機体
ドローンであっても重量が200g未満であれば、無人航空機として航空法132条および132条の2の規制をうけることはありません。
重量200g未満のドローンは機能や性能が限定されており、墜落したとしても損害は比較的軽微で済むと考えられているためです。
感違いしやすい3つの注意点
「200g未満なら、何も心配いらないんだ」
と思った方もいるかもしれませんが、実はそうとも限りません。
注意して欲しいポイントが3つほどあります。
重量200g未満の解釈について
ここでの重量は、ドローン本体の重量とバッテリーの重量を合計したもののことをいいます。したがって、ドローン本体だけではなく、バッテリーの重量も考慮する必要があります。
重量200g未満のドローンでも航空法の規制は受ける
重量が200g未満のドローンは、模型航空機に該当します。無人航空機として132条および132条の2の規制は受けませんが、航空法第99条の2が適用されます。
何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。
引用:航空法第99条の2
次のような、航空機の飛行に影響を及ぼす空域での飛行は避けましょう。
- 航空交通管制圏
- 航空交通情報圏
- 特別管制空域
航空法以外の法律についても配慮が必要
ドローンを飛ばす上では最低限のルールを守りたいものです。
例えば、他人の私有地の上空でドローンを飛ばしたい場合は、その土地の所有者の許諾を得る必要があります(民法)。
また、路上や路肩で離着陸をするためには、事前に警察署から許可証をもらっておかなければなりません(道路交通法)。
ドローンを飛ばす上で守るべきルールについては、『ドローンの法律・条例10個|違法飛行・トラブル回避の備忘録』でご説明します。
ドローンで飛んではいけない空域と飛行方法について
ここでは、次の3点についてご説明します。
- ドローンを飛ばしてはいけない空域
- 航空法違反にならない飛行方法
- 承認が必要な飛行方法
ドローンで飛んではいけない3つの空域
航空法第132条では、次の3つを飛行禁止空域として定めています。
- 空港の周辺
- 150m以上の上空
- 人家の密集地域
「この辺の禁止空域ってどこだ?」
という方は、地理院地図を使えば、任意の地域の空港周辺と人家の密集地域を調べられます。
引用:地理院地図
また、航空法の範囲ではないものの、次の場所でドローンを飛ばす行為は避けたほうが無難です。
- 人の頭上
- 学校・病院の上
- 高速道路や線路の上
- 電波塔・変電所・高圧線の近く(電波障害の恐れあり)
航空法違反にならない無人航空機の飛行方法
航空法第132条の2では、無人航空機の飛行方法についての規定がされています。
ドローンを飛ばす際は、次の6点を守りましょう。
- 日中に飛行させる
- 目視できる範囲内で飛行する
- 人や建造物、車から30m離れて飛行する
- 催し場所で飛行しない
- 危険物を輸送しない
- ドローンから物を落とさない
承認が必要な飛行方法
以下の飛行方法をする場合は、すくなくとも飛行の10日前に国土交通大臣の承認を得ましょう。
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 30m以内での飛行
- イベント上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件を投下する
参照:無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン
申請方法は、1.オンライン、2.郵送、3.持参の3種類です。
詳しくは、『3.許可・承認手続きについて|国土交通省』をご覧ください。
ドローン航空法でよくある疑問とその答え
最後に、ドローンの航空法に関する細かな疑問に答えていきます。
Q.日の出から日没までの間ってのは具体的にいつ?
A.国立天文台が発表している日の出時刻から、日の入り時刻のことをいいます。
したがって、地域によって具体的な時刻は異なります。
日の出・日の入り時刻は、『国立天文台 暦計算室』から確認できます。
Q.人がいない場所でも、人口集中地区であれば飛行禁止なの?
A.人がいなくても、飛行できません。人口集中地域でトラブルが起きれば、近隣住民に被害が及ぶ可能性があるためです。
Q.人口集中地区の屋内で飛ばすのにも許可はいるの?
A.屋内の場合は、航空法の規制対象外のため、許可はいりません。
Q.航空法を遵守していれば、第3者の所有地の上空であっても飛行していいの?
A.第3者の所有地上空を許可なく飛行した場合は、所有権の侵害になる恐れがあります。
航空法はあくまで人や物件を守る目的の法律です。たびたびお伝えしているように、航空法だけを守ればいいわけではありません。
Q.双眼鏡や補助者による目視をすれば、目視により常時監視していることになる?
A.なりません。目視による監視は、操縦者がしなければなりません。
メガネやコンタクトをつけていても目視による監視となりますが、双眼鏡や補助者の目視は目視による常時監視としては認められません。
ドローン航空法の要点まとめ
- 重量200g以上のドローンを飛ばす人は航空法を覚えよう
- 飛行禁止空域で飛ばない
- 飛行方法を守る・承認を得る
ルールを守って楽しくドローンを飛ばしましょう。
航空法以外のルールも確認しておきたい方は、『ドローンの法律・条例10個|違法飛行・トラブル回避の備忘録』もあわせてご確認ください。
わからないことがあれば、国土交通省に問い合わせましょう。
無人航空機ヘルプデスク
電話 : 03-4588-6457 受付時間 : 平日 午前9時〜午後5時 |