ドローンの民法|操縦者が押さえておきたいポイントを解説

「ドローンを飛ばして土地所有権を侵害したり、墜落して人や物にぶつけたりしたら、飛行をやめるように差止請求されたり、損害賠償請求されたりしますよ。」

 

というのが「ドローン 民法」の要点です。

 

民法はあくまで個人対個人のルールを定めた法律にすぎず、航空法や電波法のように、ドローンを名指しして、直接制限や規定を設けているわけではありません

 

では、ドローン操縦者は、民法の何を押さえておけばいいのでしょうか?

 

この記事では、ドローン操縦者が把握するべき民法の要点と、民法に抵触することで生じうる不都合、および不都合を未然に防ぐ方法などをかいつまんでご説明します。

 

ドローン民法で押さえておきたい4つのポイント

ドローン操縦者の方は、民法に関して次のポイントを押さえておきましょう。

 

  • そもそも民法とは
  • 土地所有権
  • 不法行為による損害賠償請求権
  • 差止請求

 

そもそも民法とは

民法は、人と人との間のルールを定めた法律です。

 

他人の権利(当記事では主に土地所有権)を侵害することで、侵害をやめるように請求されたり、損害賠償請求されたりします。

 

土地所有権(民法第207条)

土地所有権とは、文字通り土地を所有する権利のことです。民法では土地の上下、つまり上空と地下にも所有者の権利が及ぶとしています。

 

土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。

引用元:民法第二百七条

 

「土地の上下って具体的にどこからどこまで?」と疑問を持つ方もいるかもしれませんが、民法では土地の上下に関して、具体的に定義をしていません

 

「じゃあ結局どうすればいいんだ」という話ですが、条文をよくみると、法令の制限内においてとの一文があります。

 

つまり、土地の上空や地下の具体的な範囲は、関連する法令の制限を受けると解釈できます。所有権の上下の範囲に関する法令はいくつかありますが、ドローン操縦者の方であれば、航空法を押さえておけばいいでしょう。

 

航空法とは、民間旅客機の安全な飛行を守るための法律で、ドローンが飛行できる空域に関しても制限を加えています。

 

航空法では、他人の所有地の上空300m以内飛行するには、所有者の承諾が必要であるとしています。

 

もっとも、重量200g以上のドローンであれば、150m以上の上空は飛行禁止空域とされています。したがって、私有地上空を飛行する以上は、事前に所有者の承認を得るのが無難です。

 

不法行為による損害賠償(民法第709条)

不法行為とは、他人の権利や利益を不当に侵害することです。

 

他者の私有地上空でドローンを飛ばすと、土地所有権を侵害したとして不法行為になります。

 

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法第七百九条

 

差止請求

違法な行為により自己の利益が侵害されそうな場合、問題となる行為をやめるように請求できます(差止請求権)。

 

私有地上空でドローンを飛行させると、「私の土地でドローンを飛ばさないでください」といった差止請求をされることも考えられます。

 

ドローンを私有地上空で飛ばすとどうなる?

他人の私有地上空にドローンを飛行させたことが発覚したとして、どのような不利益が想定されるのでしょうか。

 

詳しく見ていきましょう。

  • 損害賠償請求をされうる
  • 差止請求をされると見るのが現実的
  • 住居侵入罪は成立しない
  • 盗撮の疑いをかけられる

 

損害賠償請求をされうる(が、損害はほとんどない)

法律に抵触すれば何でもかんでもお金を請求されるわけではありません。

 

ここで、もう一度民法709条を見てみましょう。

他人の権利又は(中略)利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法第七百九条

 

無断のドローン飛行により土地所有権が侵害されるのは確かですが、損害を与えていなければ、損害賠償の請求のされようがありません

 

損害賠償とはそもそも、損失を補填するものです。したがって、「ドローンが墜落して他人の車を壊してしまった」といった物損や傷害などが発生するケースでなければ、損害賠償されるのは現実的ではないでしょう。

 

差止請求をされると見るのが現実的

私有地上空を飛行するだけでは損害をほとんど与えていないので、損害賠償請求されるシチュエーションは現実的ではないかもしれません。

 

「私の土地でドローンを飛ばさないでください」と差止請求されるのがいいとこではないでしょうか。

 

住居侵入罪(刑法)は成立しない

「住居侵入だ!」「不法侵入だ!」などと言い争いになる恐れもありますが、住居侵入罪はあくまで人が侵入した際に成立する罪なので、ドローンは問題となりません。

 

とはいえ、無断で私有地内にドローンを飛ばされてはいい気はしないでしょうから、配慮はもちろん必要です。

 

盗撮の疑いをかけられる(迷惑防止条例)

ドローンにはカメラが付いているので、「撮った撮らない」の言い争いになり、通報される恐れがあります。

 

警察に逮捕・注意される可能性も十分あるのでご注意ください。

 

私有地でドローンを飛ばす際のチェックポイント

トラブルを未然に防ぐために、次の2点を押さえましょう。

  1. 私有地でドローンを飛ばすなら、所有者の許可を得よう
  2. 民法以外の法律も押さえておこう

 

私有地でドローンを飛ばすなら、所有者の許可を得よう

所有者の許可なく私有地でドローンを飛ばしてはいけないとのことなので、事前に承認を得てしまいましょう。

 

そうすれば法律に限らず、感情に起因するトラブルなども未然に防ぎやすくなるでしょう。

 

民法以外の法律も押さえておこう

民法はドローンに対して直接ルールを設けているわけではないので、ドローンとの関連性は比較的薄いといえます。

 

民法よりも、航空法や電波法といった、ドローンやドローンに使われる電波に触れている法律を押さえた方が、実用的ではないかと思います。

 

上記の法律をまだチェックしていなければ、以下の記事をお役立てください。

 

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まとめ

民法では、個人と個人の間のルールが定められています。権利や利益を侵害すると、損害賠償請求や差止請求をされます。

 

私有地上空を飛行しても、実質損害賠償請求されるのは考えにくいですが、法律に抵触していなくてもトラブルに発展する恐れはあります。

 

損害を与えたかどうかというよりも、結局モラルや事前の承認などが求められるように思います。